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人工透析とは?

腎臓について

腎臓は、腰の上あたり(お腹ではなく背中側)、背筋の内側に左右1つずつあり、そらまめ状の形をしています。成人ではこぶし程度の大きさで、1個の重さは120gから150gです。 腎臓の働きは、

尿の生成

  1. 老廃物の排出(不要な老廃物を尿として排出)
  2. 水分の調節(尿により体内の過剰な水分を排出)
  3. 血液のpHの調節(血液のpHを弱アルカリに保つ)
  4. 電解質バランスの維持(余分なナトリウムやカリウムを体外に排出し一定濃度に保ちます)

血圧の調節

レニンという血圧を上げるホルモンを分泌し調節します。

造血ホルモンの分泌

エリスロポエチン(造血を促すホルモン)を分泌します。

ビタミンDの活性化

ビタミンDを活性化し、腸からカルシウムの吸収を増加させます など生命を維持するために様々な働きをしています。 腎臓の機能が低下し、30%以下になった場合を腎不全といい、タンパク尿・血尿・むくみ・高血圧の4大症状が現れるようになります。さらに腎不全が進行し腎機能が10%以下になると体の外に出されるべき老廃物が排出されず尿毒症(疲れやすい、だるい、むくみ、吐き気)が現れはじめ、さらに進行すると、咳、息苦しさ、けいれんなどの症状が加わり、視力の低下や眼底出血、味覚異常などの末期的な症状も現れるようになります。

血液透析について

腎不全には、腎臓の機能が急激に悪くなる急性腎不全と、月または年の単位で悪くなる慢性腎不全があります。急性の場合、50から60%の人は完治しますが、慢性腎不全の患者さんで末期の状態、尿毒症にまで至ってしまうと、生命維持のために腎臓の代用となる治療を受けなければなりません。

この代用となる治療が、「透析療法」と「腎移植」です。 透析療法には、血液透析(HD)と腹膜透析(PD)があります。

血液透析とは

専用の装置を使用し、体の外に導きだした血液を、人工腎臓(ダイアライザー)と 透析液により不要な物質を濾過し、体に戻す方法で、日本では90%以上の患者さんが受けている治療法です。通常1回3~5時間、週3回実施します。

腹膜透析とは

患者さん自身の腹膜を透析膜として使用し、腹膜に注入した腹膜透析液に不要な物質をしみ出させ、その液を交換する方法です。

人工腎臓について

半透膜でできたストロー状の中空糸を数千から数万本束ねプラスチック製の容器に入れ、血液と透析液が中空糸の中(血液)と外(透析液)で接する構造となっています。血液中の不要な物質は、血液側から透析液側に排出され、必要な物質は透析液から血液側に補充されます。【拡散の原理】

また、余分な水分は、透析膜に陰圧や陽圧をかけることで血液側から透析液側にしみ出させて除去します【限外濾過の原理】

図:ダイヤライザー内の模式図血液は、血液透析のため生体ではない部分を通過します。この時、血液回路や人工腎臓を異物と判断した場合には強い拒否反応を示します。つまり、血液回路や人工腎臓には、その材質を異物と感じさせない生体適合性に優れた材質と滅菌方法が要求されます.
近年、人工腎臓に使用される膜材質は、生体適合性に優れた人工膜を使用した物がほとんどであり、セルロース膜といわれる天然素材を使用した膜も改良が加えられ生体適合性は向上しています。

シャントについて

図:シャント手術血液透析では、1分間に150ml~250mlの血液を人工腎臓に通さなければなりません。しかし、体表面にある静脈血管ではそれほど大量の血液は流れていません。それだけの血液が流れている血管は体の深部に保護されている動脈血管や、体幹部にある太い静脈などですが、その血管に針を刺すこと自体難しく、さらに針を抜いた後の止血にも十分注意が必要になります。

そこで血液透析に必要な血液流量を確保するため、体表近くにある静脈血管と深部にある動脈血管をつなぎ合わせ、動脈血の一部が静脈血管に流れるよう、シャントと呼ばれるバイパス手術が行われます。(ブラッドアクセスの一つ)

★体重50kgの人の血液量は、およそ3.8リットル。血液透析を4時間実施(200ml/min)した場合、およそ48リットル(血液量の12倍)の血液がダイアライザーを通過することになります。

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